こんにちは、床下電子音楽のゆっQと申します。これから何回かにわたってVVVFインバーターの波形を再現する上で必要だった知識について書いていきます。
始めは用語が多く登場するのでとっつきにくいかもしれません。図を多めにつけたので、それを見てイメージをつかんでいただけたらと思います。
PWMについて
PWM (Pulse Width Modulation)は、信号波(英: Signal Wave)とキャリア(英: Carrier)の大小を比較してパルス信号を出力する変調方式のことです。上の図のようなイメージになります。文字で書くと、
- 信号波がキャリアより大きければ1
- 信号波がキャリア以下であれば0
をパルス信号として出力するという変調方式です。
をパルス信号として数式で表すと以下のようになります。
信号波とキャリア
基本的に、信号波には正弦波、キャリアには三角波が使われます。 この図のように、正弦波と三角波を使ってパルスを生成しています。
ここでの説明はここまでにとどめておきます。詳細は次回お伝えします。
出力パルスについて
この図は図2の出力パルスのみを抜き出したものです。この出力パルスは相電圧と呼ばれます。実はこの相電圧1つだけでは再現できません。実際の電車のVVVFインバーターは3相交流を出力しています。この3相交流を出力するには相電圧が3つ必要ですが、そのために以下の図4のようなことをします。
120°ずつ位相がずれた3つの正弦波を、1つのキャリア1で比較、PWMします。こうすることで3つの相電圧を出力できます。U、V、Wというのは3つの相を区別するためのアルファベットです。インバーターではたいていこのアルファベットが使われています。 ここで、上の図からW相を消し、U相電圧からV相電圧を引いた線間電圧()を追加した図を以下に示します。
ここは試行錯誤の結果になってしまいますが、線間電圧が聴きたい音(実際の車両の音)に最も近いことが実験的にわかりました。
音を比較する
U相電圧で生成した音
線間電圧で生成した音
聴いた感じ、線間電圧のほうが聴きたい音に近いですよね。他にも生成方法が存在するかもしれませんが、とりあえずこれからは線間電圧を生成していくことにします。
まとめ
- PWMは信号波とキャリア波形の大小を比較してパルス信号(1と0)を出力する方式
- 信号波には正弦波、キャリアには三角波が基本的に使われる
- U相電圧からV相電圧を減算した線間電圧が聴きたい音に近い
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例外的に3つのキャリアを使う場合もありますが、基本的にキャリアは1つと思ってもらって差し支えありません。この例外を一連の記事に載せるかどうかは不明です。↩