1-1. いろいろな波形 / PWM波形再現

こんにちは、床下電子音楽のゆっQと申します。これから何回かにわたってVVVFインバーターの波形を再現する上で必要だった知識について書いていきます。

始めは用語が多く登場するのでとっつきにくいかもしれません。図を多めにつけたので、それを見てイメージをつかんでいただけたらと思います。

PWMについて

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図1

PWM (Pulse Width Modulation)は、信号波(英: Signal Wave)とキャリア(英: Carrier)の大小を比較してパルス信号を出力する変調方式のことです。上の図のようなイメージになります。文字で書くと、

  • 信号波キャリアより大きければ1
  • 信号波キャリア以下であれば0

パルス信号として出力するという変調方式です。

V_{PWM}をパルス信号として数式で表すと以下のようになります。

$$ V_{PWM} = \left\{ \begin{array}{ll} \displaystyle 0 & (信号波 \leqq キャリア) \\ \cr \displaystyle 1 & (信号波 > キャリア) \end{array} \right. $$

信号波とキャリア

基本的に、信号波には正弦波、キャリアには三角波が使われます。

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図2
この図のように、正弦波と三角波を使ってパルスを生成しています。

ここでの説明はここまでにとどめておきます。詳細は次回お伝えします。

出力パルスについて

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図3
この図は図2の出力パルスのみを抜き出したものです。この出力パルスは相電圧と呼ばれます。実はこの相電圧1つだけでは再現できません。実際の電車のVVVFインバーター3相交流を出力しています。この3相交流を出力するには相電圧が3つ必要ですが、そのために以下の図4のようなことをします。

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図4
120°ずつ位相がずれた3つの正弦波を、1つのキャリア1で比較、PWMします。こうすることで3つの相電圧を出力できます。UVWというのは3つの相を区別するためのアルファベットです。インバーターではたいていこのアルファベットが使われています。 ここで、上の図からW相を消し、U相電圧からV相電圧を引いた線間電圧( = U - V )を追加した図を以下に示します。

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図5
ここは試行錯誤の結果になってしまいますが、線間電圧が聴きたい音(実際の車両の音)に最も近いことが実験的にわかりました。

音を比較する

U相電圧で生成した音

線間電圧で生成した音

聴いた感じ、線間電圧のほうが聴きたい音に近いですよね。他にも生成方法が存在するかもしれませんが、とりあえずこれからは線間電圧を生成していくことにします。

まとめ

  • PWMは信号波キャリア波形の大小を比較してパルス信号(1と0)を出力する方式
  • 信号波には正弦波、キャリアには三角波が基本的に使われる
  • U相電圧からV相電圧を減算した線間電圧が聴きたい音に近い

次回:1-2. 信号波とキャリア


  1. 例外的に3つのキャリアを使う場合もありますが、基本的にキャリアは1つと思ってもらって差し支えありません。この例外を一連の記事に載せるかどうかは不明です。