3レベルVVVFインバーターを作りました

ちょくちょく構想をしていた3レベルインバーターがようやく完成しました。


完成までの道すじから今後の課題まで

試験回路の作成

とりあえずハーフブリッジの回路を作ってゲート信号を入力して無負荷で動かしてみました。直流280V入力で特に発熱等は確認されなかったので、基板の制作に移りました。

基板を設計

KiCADで配線をガーッって書いて発注しました。いままで使っていたインバーターに重ねたかったのでB基板の大きさに合わせて作りました。おかげで配置がギュウギュウになって、一部の配線をジャンパー線でまかなわないといけなくなりました。あと、Cスナバーをとりあえず取り付けたんですが意味を成しているかは不明です。

基板完成!しかし…

個人での作例がなかったんですがまあ行けるっしょ!って感じではんだ付けまでして動かしたら良い動きをしないんですよね。
電源のスイッチをオフにしてキャパシターに溜まっている電荷だけで動かしたんですが、マイコンを起動するとなぜか上のキャパシターの電圧が低くなっていってしまう。

f:id:yuppi5:20190430144817p:plain
不具合

壊れる素子

280Vを通電したところU相の素子(FET)が壊れました。原因を探ったところ、マイコンリセット時に48MHzのクロック?が出るピンがあり、それが悪さをしていたようです。
基板の部品の密度が高いせいで素子を交換するのに苦労しました…。

発煙

素子を取り替え、ピンを変更したあと無負荷で動作試験をしました。このときスライダックを入手したので、それを使って電圧を上げていきながら行いました。
直流電圧140Vくらいまではほぼ問題なかったんですが、200Vまで上げるとどこからか発煙したので中止しました。電源を落としキャパシターを放電したあと基板を触ると熱い部分があったので、多分何か問題が起きていますね。(ハーフブリッジで試験したときに無事だったのはなんだったんだろう…?)
ゲート信号を全く与えない状態(全て0)で280Vに上げても特に問題はなかったので、原因は素子ではなさそうです。

デッドタイムを長く

原因が結局よくわからないまま時間が進むのも良くなかったので、とりあえずデッドタイムを長くして対症療法的に対策をしました。そうすると発熱が多少改善されました。

問題点

  • 回路がガバ
  • 電源が弱い
  • 電源の入力電圧をスライダックで半分にしていて音量が小さい
  • なぜか発熱するFET

最初の2点はすぐ直せるとして、後ろの2点は今後の長期の課題ですね。素子壊したくないですし。
そういえば、回路の甘さと電源の弱さで一番最初の再現*1を思い出しました。当時はスライダックもオシロスコープもなかったですけどね。

今後の課題

280Vで動かせるようにすることと、SDカードでも3レベルの設定で鳴らせるようにすることですね。


その他

先駆者

素子が壊れて萎えていたところ、ぽんずさん*2に先を越されていました。


基板の部品の配置がかっこいい。東武30000系の音良いですよね。
オシロスコープがぽんずさんと同じだったので全く同じにするのもなあと思い、Twitterの動画ではオシロのチャンネルに3と4を使いました。

ノッチオフ時について

f:id:yuppi5:20190430151648j:plain
動画の最後のあたりのスクリーンショット
ノッチオフというか回転数0のときにスイッチングしているのは、ブートストラップでやっていた2レベル時代の名残です。

最後に

問題点・課題が多いですが、とりあえず完成してモーターを回せたのは良かったです。

f:id:yuppi5:20190430151316j:plain
マイコンボードの下に見える青い基板が今回作ったもの

*1:自作VVVFインバーター東武50000系を再現しました(2016/05/23) https://youtu.be/7dzAvt-umCw

*2:ぽんずさんによる記事:3レベルVVVFインバータを作った - ぽんず製造所 http://pons.blog.jp/archives/79636359.html

末尾長音の有無が混在する文章中で一気に末尾長音を付ける/取り除くときの正規表現(VSCodeでの置換)

末尾長音を付けるとき

例えば、「ドア」に末尾長音をつけて「ドアー」にしたいときは
 検索:(ドア)([^ー])
 置換:$1ー$2
f:id:yuppi5:20190428000631p:plain
とします。

f:id:yuppi5:20190428000653p:plain
そうして全て置換するとこうなります。

末尾長音を取り除くとき

例えば、「ドアー」の末尾長音を取り除いて「ドア」にしたいときは
 検索:(ドア)(ー)
 置換:$1
f:id:yuppi5:20190428000845p:plain
とします。

f:id:yuppi5:20190428000831p:plain
そうして全て置換するとこうなります。

自作VVVFインバーターをスマホから操作できるようにしました

作ったもの

元ネタの方

IoTインバーターすき

使ったもの

f:id:yuppi5:20181010232109j:plain

ESP-WROOM-02

ESP-WROOM-02(ESP8266)をアクセスポイントにしてiPod Touchから直接繋げています。ESP-WROOM-02にプログラムを書くのは初めてではないのですが、アクセスポイントモードを使ったのは初めてだったのでいろいろ調べながら作っていました。

iPodESP-WROOM-02から情報を受け取る際には XMLHttpRequest を使ってリアルタイムに受信しています。もしかしたら別の方法のほうが適しているかもしれませんが調べていません。

また、インバーターの情報をリモコンに送って表示ができたら面白そうだなあと思って方法を調べました。これにも XMLHttpRequest が使えるらしく、JavaScriptを少し改造するだけでデータ受信機能を追加できました。
用途からするとWebSocketのほうが向いていそうですが8年前の古いブラウザーなので対応しているかは不明です(試してはいません)。

iPod Touch

タイトルにあるスマホではないですが、モダンなブラウザーが使えてWi-Fiに接続できるものであれば何でも使えます。
iPod Touchは第2世代のものです。ブラウザーのバージョンは5.0.2だったので、もう8年前から更新されていないことになります。何しろ8年前なので当然letとconstは使えません。それでもたいていの機能は使えるのでそんなには大変ではありませんでした。ですがローカルで外観を確認できないので、一旦Webに上げてどんな感じに映るかを確認してたのでやっぱり大変でした。
「ここを外すと動かない」が発生しましたが、よくよく考えたら書き方を間違っていただけでした。すぐにブラウザーのせいにしてはいけない

VVVFインバーター

自作です。この前SDカードで設定を読み込ませるやつを作ったので、それに機能を追加する形で今回のリモコンを導入しました。

ブラウザーの画面について

f:id:yuppi5:20181010232910p:plain
パソコン側でのデザイン風景
指をスライドするとノッチが切り替わる動作は鉄道運転シミュレーターの「Train Drive ATS」を参考にしました。本物のワンハンドルマスコンにような感じで操作ができます。僕が書いたプログラムがタコなせいなのか、スライドすると操作が遅延するバグがあります。
上のスクリーンショットChromeデバッグコンソールのデバイス切り替え機能を使ったものです。スマホで見た場合の画面をエミュレート?してくれるので便利です。

追記

(2018/11/11)
タイトルを「自作VVVFインバーターWi-Fiリモコンを導入しました」から「自作VVVFインバータースマホから操作できるようにしました」に変更しました。

MS処理について

数式で一般的に表した場合のMS処理です。

定義

I_L…入力信号の左成分。
I_R…入力信号の右成分。
O_L…出力信号の左成分。
O_R…出力信号の右成分。
a…MS調整用パラメーター。0に近いほどMid寄り、1に近いほどSide寄りになります。
入力信号、出力信号ともに大きさは-1~1です。

V_MをMid成分、
V_SをSide成分と置くと
\[
V_M = I_L + I_R \\
V_S = I_L - I_R \]
となります。出力は
\[
O_L=(1-a)\times V_M+a\times V_S \\
O_R=(1-a)\times V_M-a\times V_S \]
となります。
aを調整することで、ステレオ感を出したり、モノラルにしたりできます。

参考サイトさん

oto-hako.net

素のSTM32F303K8にデバッガーを切り離していないNucleo経由でバイナリーを書き込む方法

この記事はstm32 Advent Calendar 2017の21日目の投稿です。

f:id:yuppi5:20171217233813j:plain
素のSTM32F303K8は、デバッガーを切り離していないNucleo経由でバイナリーを書き込むことができます。
バイナリーはmbedオンラインコンパイラーのもので動作を確認しています。
ボードの上下を切り離して別々にして書き込んでいる例があり、切り離さないとSTM32F303K8に書き込めないのかと思ってしまいますが、切り離さなくても書き込めます

続きを読む

自作のVVVFインバーターの惰行時の制御

フィードバックなしに空回しモーターの惰行時の回転速度を推定する方法を紹介します。

  • 前置き
  • モーターを惰性で回して回転数を測定する
  • 曲線を近似する
  • 測定した回転数から必要なパラメーターを求める

前置き

こんにちは。自作のVVVFインバーターでモーターを回すのは楽しいですよね。
f:id:yuppi5:20170901102501j:plain

ところで、電車用のインバーターでは回転中に電圧を0にして惰行だこうする制御があります。普通のモーター用のインバーターでは回転中に電圧が0になることはないので、惰行は電車用のインバーター特有の制御です。

私が作っているインバーターでは電車のインバーターの再現をするのが目的なので、当然惰行もします。加減速はフィードバック無しでもある程度平気(V/f一定制御)ですが、惰行はフィードバックが無いと厳しいです。インバーター周波数と実際のモーターの回転数がかけ離れた状態で電圧を上げると、過大な電流が流れます。スイッチング素子が壊れるかもしれません。惰行をする場合、フィードバックは必須です。

しかし、私のインバーターでは負荷をかけてモーターを回すことはなく、空回しをさせています。よって計算することでフィードバックなしにモーターの回転数を推定できると考えました。

続きを読む

mbedのオンラインコンパイラでLPC1114のGPIOをレジスターで叩くときの注意点

LPC1114マイコンをライブラリの DigitalOut 等を使うことなく、mbedのオンラインコンパイラ上でレジスターを叩いて高速なGPIOを実現するさいの注意点です。レジスターを叩くことについては、以下のリンク先に詳しい解析が載っています。

monoist.atmarkit.co.jp

こちらのページのように LPC_GPIO0->DIR で GPIO ピンの入出力の方向を設定できますが、設定が反映されないピンがあります。
反映されないピンは以下の通りでした。

  • 3 (P0_10 / SWCLK)
  • 4 (P0_11 / R)
  • 9 (P1_0 / R)
  • 10 (P1_1 / R)
  • 11 (P1_2 / R)
  • 12 (P1_3 / SWDIO)
  • 23 (P0_0 / RESET)

ピンアサイン参考:Beginning LPC1114FN28 with Arch | Mbed

ピンアサインを見ると、SWCLK、R、SWDIO、RESET の機能を有するピンだけ入出力設定が反映されないことがわかります。
また、リンク先のピンアサイン表の「PIOx_y」の左側に何かが書かれているピンだけ設定が反映されない、とも言えます。

ピンの設定について調べていくと、以下のページが見つかりました。

http://digimono-boys.blogspot.jp/2011/12/armcortex-m0iocon.htmldigimono-boys.blogspot.jp
white-clouds-in-sky.blogspot.jp

どうやら、ピンアサイン表の一番左側にある機能がデフォルトの設定になるようです。

  • 例えば、ピン3はデフォルトで SWCLK が有効になっているので、入出力の方向を設定(LPC_GPIO0->DIR に代入する)しても GPIO の機能にはなりません。
  • また、ピン1は PIO0_8 が一番左側にあるので、このピンのデフォルトの設定は GPIO であることもわかります。

この GPIO や R、AD変換 などといった機能を設定するレジスターがあります。


以下は、ピン23以外(理由は後述)の全てのピンでLチカができるプログラムです。

#include "mbed.h"
int main(){
    LPC_IOCON->SWCLK_PIO0_10 = 0xd1;
    LPC_IOCON->R_PIO0_11 = 0xd1;
    LPC_IOCON->R_PIO1_0 = 0xd1;
    LPC_IOCON->R_PIO1_1 = 0xd1;
    LPC_IOCON->R_PIO1_2 = 0xd1;
    LPC_IOCON->SWDIO_PIO1_3 = 0xd1;
    //LPC_IOCON->RESET_PIO0_0 = 0xd1;
    
    LPC_GPIO0->DIR = 0xFFFF;
    LPC_GPIO1->DIR = 0xFFFF;
    while(1){
        LPC_GPIO0->DATA = 0xFFFF;
        LPC_GPIO1->DATA = 0xFFFF;
        wait(0.5);
        LPC_GPIO0->DATA = 0x0000;
        LPC_GPIO1->DATA = 0x0000;
        wait(0.5);
    }
}

問題のピンは、以下の行で GPIO モードに設定しています。設定値の 0xd1 はたまたま全てのピンで共通の値でした。

    LPC_IOCON->SWCLK_PIO0_10 = 0xd1;
    LPC_IOCON->R_PIO0_11 = 0xd1;
    LPC_IOCON->R_PIO1_0 = 0xd1;
    LPC_IOCON->R_PIO1_1 = 0xd1;
    LPC_IOCON->R_PIO1_2 = 0xd1;
    LPC_IOCON->SWDIO_PIO1_3 = 0xd1;
    //LPC_IOCON->RESET_PIO0_0 = 0xd1;

設定の値はこちらのユーザーマニュアル(https://www.nxp.com/documents/user_manual/UM10398.pdf)で見ることができます(「SWCLK_PIO0_10」等でページ内検索を掛けると該当の部分が出てきます)。


ピン23(P0_0) の設定はコメントアウトしてあります。筆者はISPモードで bin を書き込む LPCISP というソフト(mbed LPC1114でLチカしてみた(2) - しなぷすのハード製作記)を使っています。このソフトは自動でリセットを掛けてISPモードに突入して書き込みを行ってくれます。そのため、ピン23を GPIO モードに設定するとマイコンの電源が入った直後にこのピンが GPIO として働いてしまい、自動リセットは掛かりません。

どうしてもピン23を GPIO として使いたい、ピン23を GPIO に設定してしまってプログラムを新しく書き込めない…といった状況なら、手動でリセットを掛けて書き込みをする方法で状況を解決します。

www.nxp-lpc.comこちらのサイトの「ISP」の欄の要約になりますが、

  1. 電源を落とす
  2. ピン23(RESET)、ピン24(ISPエントリーピン) を Low にして電源を入れる
  3. ピン23を High にする

という手順のあと、LPCISPを使って書き込みをします。電源を落とさなければならないので、面倒な手順を踏むことになります。